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日本のこれからを見据えたビジネスリーダーたちの次世代を切り開くメッセージを収録。

FILE NO.064
サービス業

株式会社エイチ・アイ・エス 澤田秀雄 | 運を引き寄せる力を磨き、将来の可能性を信じて乗り出す

株式会社エイチ・アイ・エス 代表取締役会長 澤田秀雄
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赤字経営の国営銀行も国内No.1のリテール銀行に

「わたしが起業したのは20代のとき、1980年のことです。日本経済は昇り調子で、たしかに、現在とは状況はまったく異なっています。しかし、取りまく環境や状況がどうあろうと、経営の考え方に違いはありません。マネジメントの仕方にしろ、経営のポリシーにしろ、変わりはないのです」

そう語る株式会社エイチ・アイ・エス代表取締役会長澤田秀雄の言葉からは、会社経営に対する揺るぎない自信が感じられる。

「大切なのは、いい人材をブレーンに入れること。いい人材を採用すること。会社は人ですから、これは大前提と言えるでしょう。けれど、いいピッチャーだけをそろえてもダメなことは目に見えています。いいピッチャー、いいキャッチャー、いいバッターをそろえなくては。経理だけでも、技術だけでも、営業だけでもダメなんです」

起業するにあたっては、それぞれの役割分担に合った人材をバランスよくそろえる。そのための努力が必要だという。そして、もう一つ大切なのが、将来伸びる産業や分野に乗り出すことだ。

「わたしの場合を例にして言いますと、エイチ・アイ・エスはこれから日本の海外旅行需要が伸びるであろうと考え、始めたものです。スカイマークは、国内線の料金があまりに高すぎる。LCC(Low Cost Career)の時代が将来必ずや来るに違いないという思いで始めました。モンゴルのハーン銀行、これは半分お願いされて、赤字だった国営モンゴル銀行のM&Aという形で始めたものです」

ゼロから始めた前二者と、M&Aにより取得したハーン銀行とではビジネスの進め方こそ異なるが、「モンゴルは資源が豊富で、非常に可能性のある国だった。ゼロから立ち上げるか、M&Aするかの違いはあっても将来の可能性ということで、共通しています」

ハーン銀行は現在、モンゴル国内に500以上の支店を有し、モンゴル国民のほとんどが知るナンバーワンリテール銀行の地位を獲得している。さらに澤田は、世界の生産量の80%を占めるモンゴルのカシミアにも注目、国内市場で40%のシェアをもつモンゴル最大のカシミア工場に経営参画した。

ハウステンボスは実験装置
ベンチャーが挑戦できる場所

「17年間赤字を続けたハウステンボスを引き受けたのも同様の理由。将来エンターテインメントビジネスが伸びると判断したからです。人は豊かになれば、必ず喜びや感動を求めます。そうした人の思いに応えるために、テーマパークが大きな力を発揮すると考えたのです」

澤田が社長就任後たった1年で、ハウステンボスを黒字転換に導いたことは万人の知るところだが、ハウステンボスを単に赤字経営のテーマパークとして見るのではなく、可能性の器としてとらえたところに、急回復の原点があった。当初澤田の採点で49点だった同社の評価も、現在は59点にまで上がった。経常利益も2011年19億円、12年34億円と順調に伸び、今年は50%以上の成長を見込んでいるという。

「あと3年もしたら、100億円前後にまでいくと思いますよ。そうすれば70点がつけられる」

かつて、70点になれば最早口出しする必要もないと語っていた澤田だが、実はその頭の中にはさらなる遠大な構想がある。

「ハウステンボスは、ちょうどモナコくらいの広さがある。その観光都市化はほぼ見えてきた。次なる目標はビジネス都市化なんです。最新の医療、技術を導入し、新しいベンチャーにも参画させ、ハウステンボスを観光ビジネス都市にしようという計画です。これには、エイチ・アイ・エスも関わっていきますし、エネルギーの面で日本に貢献することもできるはずです。これからが面白いんです」

すでに、東大の研究所と組んで「スマートハウス」を建設しており、ここではさまざまな実験が行なわれ、輻射熱を利用した冷房などが実現している。また、このスマートハウスとハウステンボスそのものが、多くのベンチャーのアイデアの実用実験の場となっているという。

「どんなにいいものでも、実際に使ってみないとわかりませんからね。一つの都市全体を使って実験できるなんて、こんないいことはありません。来年には、ハウステンボス内にスマートホテルを建設する予定です。光熱費を2分の1に、自動化・ロボット化により人件費を5分の1に削減し、快適な2万円のホテルが5000円前後で泊まれる世界一快適で生産性の高いホテルです」

これを、やがて世界中に建設するという。十数年後には必ずローコストホテルの時代が来ると確信しているからだ。

運のいい企業・人と付き合う
そのパワーが会社を伸ばす

こうした澤田の考え方と行動そのものが、経営者としての生きた手本というべきなのだが、起業家の資質とは? と尋ねると、「努力して継続できること、人をマネジメントできること。これが最低条件ですね」という答えが返ってきた。

どんなに優れた人間でも問題を抱え、失敗もする。だが、問題が起きたとき、失敗したとき、そのときの経験こそが後々の成長を支えてくれる。それを信じて、自信を失わず、努力を続けられるかどうかがポイントだ。また、常にスタッフを大切にし、彼らに夢を与え続けられるかも、リーダーとしての資質を問われる点である。

「あとは運を引き寄せること。わたし自身、ここまでやってこられたのは、7割が運だと思っています。経営能力は残りの3割程度です。運を引きよせる方法? 全部で6つあるのですが、今回はそのうち1つだけお教えしましょう(笑)。それは、運のいい企業、運のいい人と付き合うこと。そうすれば、いい気、いいパワーをもらえます。不渡りも出ないし、会社も成長できる」

この澤田がいるかぎり、日本のベンチャーが廃れることはない。

引用元:CEO社長情報

記事掲載日:2013年8月

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