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外食産業

ファイブグループ 坂本憲史 | 急成長企業特有の停滞感を打ち破った会議手法のすごい効果

ファイブグループ 代表取締役社長 坂本憲史
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課題への正解を持たないからこそ導入した

社内各部署に部署のコミットメントが掲示されている。企画部のシマを囲むパーテーションには「年商50億円を達成するために、私達がお約束できるコト」と題して、次のコミットメントが書かれている。

❶WEB集客効果前年比100%達成
❷各店の勝ち方を見える化し共有
❸飲食業界NO・1の情報収集とアウトプットを実行する事により、関わる全てのスタッフとお客さんが世界一ワクワク出来る環境を創造する事を約束します。

この会社は「とりとん」「居酒屋いくなら俺んち来い。」など飲食6業態を運営するファイブグループである。設立は2003年。現在は運営店舗数が約50店で、社員100人、アルバイト600人を擁する成長企業だ。

部署ごとにコミットメントを掲示するのは、それだけなら成長ベンチャー企業の社内では風物詩のような光景である。ところが同社の場合、舞台裏に特徴がある。「すごい会議」と名づけられた会議運営手法でコミットメントが創出されたのである。

すごい会議とは、社員の主体性を引き出してボトムアップによって戦略目標や実現への行動計画などを鮮明にする手法で、1975年に米国マネジメントアソシエーツ社が開発した。各業界のトップ企業が続々と導入し、日本では本田技研工業、リクルート、JR西日本、三菱重工業など多くの企業が導入している。わずか1日で幹部社員の意識が激変し、会議で目標を3倍に拡大して、その後達成させた例もあるという。

ファイブグループがすごい会議を導入したのは、坂本憲史社長の危機感からだった。設立して10年が過ぎた昨年、3〜4年前の勢いは失われ、前店舗とも黒字だったが、前年対比で売上高の伸びた店舗は2割にとどまっていた。

全社売上高は伸び続けていたが、新規出店による売上増で、既存店の売上げは芳しくなかったのだ。坂本は振り返る。

「黎明期から成長期を経て会社が疲弊していた。増収増益で全店黒字とはいえ、次のビジョンに向かう上でこのままでは走り切れないと切実に思っていた。人間と同じように老化して衰退期に入ってしまいかねない」。

ここまで危惧するほどの同社は、どんな変調を来たしていたのか。

「従来の考え方に縛られていた。いろいろな課題に対して、できない理由を挙げるような空気が社内に生まれつつあることを感じました」。

3ヵ月経つと社員に変化が見え始めた

何かしら抜本的な手を打たなければならないと考えた坂本は、セミナーや書籍を通して改善手法を探し始め、改善の委託先として複数のコンサルティング会社を候補に選んだ。外食企業専門の会社もあったが、すごい会議を提供するBRILLIANT COMPANYへの委託を決めたのは、あえて課題への正解を持っていないからだった。

どのコンサルティング会社も、既存の成功パターンから導き出した正解を用意しているものだ。しかし坂本は、イノベーションにおいてあらかじめ用意された正解はないと考えていた。「コンサルタントに提供されるのでなく、社員皆で考えて決めたことが正解である」と。

すごい会議の導入は昨年9月。まず坂本を含む経営幹部8人が2日かけて、BRILLIANT社長・永井祐介の研修を受けて決定した。さらに社員の中から会議専任コーチが3人選抜され、コーチングスキルの研修を受講した。

その後、すごい会議は週次会議と月次会議に導入され、月次会議には永井も同席して4時間を費やしている。

会議にはインテグリティーというルールがある。みずからの発言に責任を持つことで、責任を持つ以上は主体的な姿勢にならざるをえない。課題に対しては「なぜ、できないのか」でなく「どうすれば、できるようになるのか」と前を向かせる。

社員に変化が見え始めたのは3ヵ月が経過した頃だった。会議で自発的な発言が増えるようになり、つれて各店舗の売上げが伸びていき、前年割れの店舗は前年対比100%を超え、120%に達する店舗も出た。今年4月には全店舗が前年対比100%超えを達成したのだった。

この成果を通して社内には「もっと行ける!」というムードが醸成され、新規出店数を検討する会議では坂本が提示した出店数よりも、社員が提示した出店数の方が多かったという。

「狙い通りになった」と導入効果を評価する坂本は、すごい会議は気づきのトレーニングにもなると言う。

「現場の変化は早いので、経営者が過去の経験則で対処しようとしても上手くいかない。現場スタッフが気づいてスピーディーに対処することが必要だが、すごい会議を通して皆が問題に気づけるようになった。気づいて、形にして、数字に結びつけるというボトムアップの流れができたのです」

関わる人すべてが楽しくなれる環境を作る

実際、社員はどのように稼動しているのだろう。冒頭では部門のコミットメントを紹介したが、社員のコミットメントも見てみよう。

ある店舗スタッフは「達成基準=前年売上比100%維持」のもとに

❶平日割引3時間2500円導入
❷ビール比率を下げる—をコミットメント。
成果指標は
❶平日の日平均18万を超す
❷原価使用高30%以下にする。成果期日は1カ月後。
期日の結果は
❶日平均20万
❷食材仕入率33・8%。

改善策として販促値段変更の判断などが挙げられている。

すべての事項を数値で明確に示して、みずからの行動を見える化しているのだ。「目標を数字に表わして、それを達成することで責任の範囲が明確になり、継続性が出るようになった」と坂本は見ている。

すごい会議の社内コーチを務める居酒屋業態SVの織田裕規は、すごい会議の合理性に着目する。

「すごい会議は、会議中に『がんばったね』と言い合って気持ちの交換をするような感情的な要素を排除した合理的な手法だ。効果測定ができるので飲食業に適している。今の私は普通の会議に出ると、何も決まらないことに対してストレスを感じるようになった」。

しかし、同社は数値目標の達成のためにだけに、すごい会議を導入しているのではない。「関わる人すべてが楽しくなれる環境を作ること」という企業理念の実現こそ、真の目標である。

この目標に向けて、坂本は「企業の価値観と社員個人の価値観は異なるので、社員一人ひとりがどんな人生を送りたいのかという価値観を明確にできるようにしたい」と抱負を述べる。やがて、すごい会議が社員の生き方にも変革をもたらすことまで視野に入れているのだ。

引用元:CEO社長情報

記事掲載日:2014年9月

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