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士業

辻・本郷税理士法人 本郷孔洋 | 二段ロケットを用意して「マコトの道」を進もう

辻・本郷税理士法人 理事長 本郷孔洋
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開業して35年。本郷孔洋氏は数多くの企業の栄枯盛衰に関わってきた。
みずからも事務所の経営者として全国展開し、進化し続けている。
その蓄積から導き出した経営の鉄則をお伝えする!

株式上場など一定の成功を収めた経営者の多くが「運が良かった」と口にする。すると「運も実力のうち」という評価が返されるが、辻・本郷 税理士法人の本郷孔洋(よしひろ)理事長は「いや、運は運だ」と喝破する。

本郷氏は1977年、32歳のときに公認会計士事務所を開業した。今では公認会計士、税理士、社会保険労務士など550人(グループ会社含む)の社員を率いて、全国18ヵ所にオフィスを展開している。

いまは経験値が通用しない構造変化の時代

公認会計士・税理士として幾多の顧問先の栄枯盛衰を見てきただけではない。みずからも税理士事務所の経営者として多くの修羅場を経験してきた。今日があるのは「運が良かった」と、やはり本郷氏も振り返る。

「この仕事をやっていると、優秀な経営者と知り合うチャンスに恵まれ、その人達から直に学べる。それをひと言で言い表せば運だ」 では、運を高めるにはどうすればよいのだろう。本郷氏の回答はオーソドックスだ。

「運の良い人と付き合うこと。運が良いと思っていると運が良くなってくる。文句ばかり言う人に運はやってこない」。

要は前向きであり続けることである。成功する経営者はすべからく前向きだ。当然、卓越した能力と不断の努力も伴っているが、まずは前向きである。問題は、その上で状況をどう認識し、どんな戦略を立案して実行に移すかだ。

本郷氏は今の時代を「経験値が通用しない構造変化の時代」と述べ、変化の枠組みを提示する。

「国民国家という概念がなくなった。国民は自分にとって良い国に移住し、資本は新興国など儲かる国に流れ、国民と資本と国家が分離している。だから、国民一人あたりの紙幣印刷数で日本は世界一なのにデフレが止まらない。既存の経済理論では説明できない時代になった」。

ダーウィンの進化論などを引き合いに、環境適応の必要性が説かれることがあるが、そもそも環境の変化は見えにくい。リーマンショックを、欧州経済危機を、現在の円高を誰が予測できただろうか。あるいは、友だち同士をつなぐフェイスブックがここまでのビッグビジネスになることを見通した人はいるだろうか。

中長期の経営計画を策定しても即座に修正を強いられるのが実情だ。3ヵ年計画ですら長期かもしれない。しかし、それでも経営に先見は必須要件である。何かコツはないのか。

「最初から遠くを見ないこと。目の前の物をチョコチョコと食べていると遠くが見えてくる。それと、この事業は当たると自分で決めつけないこと」。

ビジネスモデルは10年おきにフルチェンジする

その上で本郷氏は、激変を乗り切るキーワードを「マコトの道」と表現する。

「『マ』は人の真似をしないこと。『コ』はこだわらないこと。『ト』はとりあえずやってみること。良いと思ったら実行して、ダメだと思ったらすぐに撤退するフレキシビリティーが必要である」。

予測不能な市況にあって、いまや企業の栄枯盛衰が短期間に繰り返されている。ヒルズ族と言われたベンチャー企業で、現在も好調な企業は何社残っているか。

凋落の原因はブームの反動という表層的なものではない。一般に業績を悪化させる企業では、次の収益源が確立されていない。ビジネスモデルは模倣されやすく、あっという間に脆弱になりかねないのだ。「はかないものである」(本郷氏)という。

業績悪化の原因を経営者の人柄に求める見方もある。言動が横柄であるとか、夜遊びが過ぎるなどと。だが、そんな経営者でも次の収益源を確保していれば、好業績を継続できるのが現実ではないのか。そう指摘する本郷氏は、経営者に二段ロケットの用意を助言する。

「3年おきにビジネスモデルをマイナーチェンジして、10年おきにフルチェンジをする。この二段ロケットだ。30代の経営者なら、40代で一回、50代で一回フルチェンジすることを考えておくことが大切である。若い経営者には″二段ロケットで10年間増収増益を続けなさい″というメッセージを送りたい」。

本郷氏は事務所の全社員にメールやランチミーティングで仕事の心構えを伝えているが、社員は皆「どれもが心に残る内容だ」という。例えば「伸びる人は上のポジションになったらどうしようかと勉強の先回りをしている」「サービス業である弊社は理屈抜きに笑顔の応対を絶対に守ること」。

経営者はすぐれた編集者でなければならない。これが本郷氏の持論である。

「ドン・キホーテの安田隆夫社長は売り場を″買い場″と呼んでいる。ビジネスは他人を通じて行なうもので、他人は共感すると動いてくれる。だから経営者は、安田社長のように『あっ!』と思うことが言えなければならない。これは編集機能である」

本誌創刊号を手にした本郷氏は特集タイトル「恐るべき20代経営者」を見て微笑んだ。「フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏のように世界レベルで恐るべき経営者になってほしい」と。

引用元:CEO社長情報

記事掲載日:VOL.2 2012年6月

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