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チームラボ株式会社 猪子寿之 | デジタル技術とアートを融合させて突き進む「話題の会社」の原動力

チームラボ株式会社 代表取締役 猪子寿之
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シンガポールでも注目されたウルトラテクノロジスト集団の力

「競争力の根源は、テクノロジーと文化じゃないですか」

株式会社チームラボ 猪子寿之社長 インタビュー画像1

そう語る猪子寿之は、チームラボを率いるIT時代の思想的な先駆者、アイコンでもある。あちこちのメディアに登場する姿を目にした読者も多いと思う。しかしそういった華やかな一面がもてはやされる裏側で、デジタルコンテンツの世界で次々と話題作を生み出す地道なクリエイターでもある。

シンガポールビエンナーレ2013にチームラボが出品した「秩序がなくともピースは成り立つ」は、現地の最有力紙「ストレートタイムズ」の1面トップに写真付きで紹介され、シンガポール首相も展示を見にくるなど、非常に注目された。国内でも「チームラボと佐賀 巡る! 巡り巡って巡る展」を佐賀県で開催するなど、テクノロジーを駆使したアートの分野で昨今たいへんな注目を集めている。

同社は2001年に猪子が東京大学卒業と同時に同級生ら仲間と創業した。エンジニア、数学者、建築家、CGアニメーター、ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、絵師、数学者、編集者など、スペシャリストを集める「ウルトラテクノロジスト集団」だ。持ち込まれるプロジェクトごとにチームを組み、テクノロジーとクリエイティブを融合させ、ジャンルの境界線を越えた新しい価値を生み出す活動を行なってきた。

クライアント企業に対しては、事業の企画・戦略から始まり、ウェブサイトやモバイルサイトの開発、スマートフォンアプリの開発、ユーザーインターフェイスの設計・企画・開発、それらすべてにわたるデザイン、そして運用から保守まで、必要なときはインフラの構築も行なう。しかもそれらがユーザーの心をつかむ。デジタルでありつつ温かかったり、斬新だったり、高度にアーティスティックだったりする見た目と使い心地を提供してくれるのだから、プロジェクトは次々と企業のほうから持ち込まれる。猪子も自らプロジェクトメンバーに入りチームを率いる。チームの一員として参加することもある。

産経デジタルのニュースまとめサイト「IZA!」も、2006年チームラボが設計・開発を手がけた。「IZA!」は、一方的に記事を発信するニュースサイトではない。そのニュースに関連するブログや過去の記事もアップされ、さらに読者からも情報が集まり、その場で情報交換され、シェアできるという当時として斬新なコンセプトのサイト。一つのページのなかに小さなインターネットが存在するような世界観をイメージして設計されているのだ。

「FaceTouch」は、チームラボならではのプロダクトだ。これはタッチパネルディスプレイに社員の顔写真を表示し、来訪者がアポイント相手の顔写真をタッチして呼び出す受付システムで、ソーシャルネットワークの普及で膨大となった人間関係を背景とした新しいインターフェイスとして、 2013年「デジタルサイネージアワード」シルバー賞を獲得した。

デジタルテクノロジーと文化で日本再生目指す

「起業は、会社を作ろうと思ったというより、選択肢として結果的にそうなった。友達と一緒にいたい、チームでのアウトプットなら何かできるのではないかという思いが一つ。もう一つは、ちょうど大学卒業のころインターネットが出てきて、第3の革命と言われるくらい歴史上大きな変革期で、それは前の社会と次の社会で活躍する人が変わるっていうか、歴史上、前の社会のノウハウがほぼ確実に生かされなくなる時期。それで、情報社会前の組織に入るのは非常に不利だと思った。産業革命が始まっているのに江戸幕府に入りたくないじゃないですか」

それで自分たちで会社を作った。

「僕は競争力の根源は、テクノロジーと文化だと思っていて、それが社会の本質的な競争力だと考えている。でもふと周りを見回すと、テクノロジーの担い手も文化の担い手もあまり大事にされてない。だから自分はたとえあまり大事にされなかったとしても、テクノロジーと文化にコミットしたい」

猪子はそう考えたのだ。

それがどういうビジネスになるか当初わからなかったが、情報社会という新しい領域で生きていこうと思っていたのだ。

「テクノロジーのなかでもデジタルという領域が生まれてくるような、文化に近いような、そういうものにコミットして日本に貢献したいと思ってきた。僕はバブル崩壊の時期にちょうど中学生、それから高校生へと育ち、何か日本再生への意欲っていうか、強迫観念みたいなものがある。実はそれが起業の一番のベースになる思いかもしれない」

考えたり作ったりしやすい環境をチームの一員として求める

現在、チームラボには約300名の社員がいる。会社の代表である一方、ものづくりに関わる一員としてどのように組織作りをしてきたのだろうか。

「実は経営とか組織運営とかよくわかっていない。ただ、チームの一員として、いいものを考えたり作ったりしていくうえで、よりクリエイティビティを発揮できる環境、作ったり考えたりするのによりよい環境を求めていて、それをチームを使う一ユーザーとして求め、作ろうとしている。

「何かいいモノを作りたいというのは人間の本能だと信じていて、人の役に立ちたい、いいモノを作ってほめられたい、他人に迷惑をかけたくないなど、本来人が持つ自然のシンプルな状態を大事にしている。たとえば、給料はバラバラだけれども、1人当たりの単純なコストを″月当たり〇〇円”というふうに決めていて、それ以下だとなんとかしなきゃと頑張る。赤字を出して迷惑かけるのは嫌だから、自然と頑張る。そんな感じ」

だからボーナスも等分に分ける。IT業界のなかではそれほど給料も高くない。採用も、それぞれの専門分野の人間が恒常的に人数が足りないとなったときに、それぞれ募集をかけて採用している。

猪子は「ヤバいモノを作っているところは儲かっているんですよ。アップルにしても、グーグルにしても」と言う。だから、チームラボも人が感動するような「ヤバい」ものを生み出し続けるために、人はどういうときにチームの生産性が上がるか、チームのクリエイティビティが上がり楽しくなるか、研究を重ねているそうだ。そういえば、オフィス設計の受注もチームラボの事業の一つになっていて、自らの組織での実験が事業へ、事業からのフィードバックを組織へと、循環させてもいるのだ。

引用元:CEO社長情報

記事掲載日:2014年05月

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