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株式会社ワークスアプリケーションズ 牧野正幸 | 各部門のエースが採用を担当。"だまされ"入社を一掃する

株式会社ワークスアプリケーションズ 代表取締役CEO 牧野正幸

海外展開を視野に、2014年度入社の半数はグローバル採用

96年の創業以来、国内大手企業向けERPパッケージソフト『COMPANY』シリーズを業界で初めて開発してから、常にトップを走り続けている株式会社ワークスアプリケーションズ。海外への事業拡大に本格的に乗り出した同社の代表取締役CEOの牧野正幸がワークスの採用戦略を語る。

「数年前からグローバル展開していくお客様が増えていくなか、『海外でもCOMPANYが使えればいいのに』とおっしゃるお客様の声を多く聞くようになった。海外で困っている日本企業を助けられるのは当社だけですから、採算度外視で、『全世界、どこでもサポートする』ことを決めました」

すでにシンガポール、上海、ニューヨークに進出。今後はお客様のニーズに応じて、ヨーロッパやアフリカも視野に入れる。

「さらなる成長を遂げていくために現地法人も対象顧客としています。現地状況を把握するためにも各国からの採用も始めました。もう日本国内だけでは優秀な人材が採りきれないのが現状なのです」

その言葉を裏付けるように、2014年卒の採用実績は約250名。その半数が中国、インド、シンガポール、台湾、香港、イギリスでのグローバル採用だ。

「各国のトップクラスの大学を卒業した学生たちですから、もちろん優秀です。日本の学生との一番の違いは、圧倒的な成長を遂げるための貪欲さで、勉強量もすごい。同僚として共に働くことは、日本人にとっても大きな刺激になると思います」

そうして現地採用する一方、牧野は入社4〜5年の若手日本人社員を海外拠点へ続々と送りこんでいるという。

「自分自身の経験から、早いうちに海外で働いたほうが圧倒的な成長につながると思っています。みんな英語が話せないまま赴任していますが、だいたい一年くらいで話せるようなりますよ。

自分のキャリアのため、若いうちからグローバルの状況を理解するべきです。今後は資本力があるアジアが台頭し、海外の企業が日本企業を買収する時代が来るでしょう。グローバルで生き抜く力を身に付けなければ働けない時代がすぐそこに来ている。私は日本の若者にそんな状況にも負けない力、世界中どこででも働ける力をつけさせたいと思っています」

優秀なら、いくらでも採る。 「無限採用」を実践

創業以来、牧野を悩ませていたのが人材の問題だった。

「日本ではパッケージソフトの開発は無理だと言われていた。だからこそ、本当に優秀な人材が必要でした。しかし、当時日本にはパッケージソフトベンダーがほぼなかったので、当然、パッケージソフトエンジニアもいない。それならゼロから育てるしかないと思い、優秀な人材を求めて新卒採用を始めました」

採用コストは一人あたり1000万円。それだけの投資に足る人材は他社からも引く手あまただ。

「当社が考える、圧倒的に優秀な人材とは、0から1を生み出す問題解決能力を持った人材のこと。それを見極めるために問題解決能力発掘インターンを実施し、約一ヵ月の時間をかけてあえて正解がないようなカリキュラムを実施しています。既存の枠組みに捉われず、新しい視点でものごとを捉えるクリエイティビティの素養をじっくりと見極め、戦力になると見込んだ学生には『いつでも入社してください』というパスを渡しています。毎年何百人と採用しても、会社の成長のためにはそれでも足りないくらいです。

シリコンバレーのベンチャーにインターンに来ている優秀な学生はみな『なんで大手に入らなきゃいけないの?』と言うのです。ゼネラル・エレクトリックみたいな会社は新卒で入るところじゃない。会社の規模は小さくても全責任を負って自分の力だけで働けるところで、圧倒的な成長を遂げたうえで、大手企業で一気に10倍のサラリーにするという考え方。日本の学生とは発想からまるで違います」

一時期、思うように採用ができず、苦戦が続くなかで牧野が打ち出したのが「無限採用」だ。

「営業する上において、、『今年は300億円以上売ったらダメだ』なんて言ったらモチベーション下がるでしょう。リクルーティングも一緒のはず。だからどんなときでも優秀な人材は無限に採用することに決めました」

採用担当者は各部門のエース社員

現在、ワークスの採用担当者は30名程度。みな各部門のエース級の人材だ。

「どの部門も優秀な人材を出したくないから引き抜くのが大変です(笑)。広告費に多くお金をかけるより、優秀な社員が『一緒に仕事しよう』と声をかけ続けることで、優秀な人材が集まります。

昔は、私自身が学生たちの採用活動に携わっていたのですが、現在3000人規模の会社になり、新入社員と経営陣が一緒に仕事をすることはほとんどあり得ない。経営陣にひかれて入社してきた新入社員からしたら『だまされた』と思うでしょうが、優秀な現場社員にひかれて入社したのであればそんなことにはなりませんから」

グローバルでの人材管理の在り方も、見直されてきているという。

「アメリカの雇用市場では必要なときに人を採用し、余剰になれば手放すという考え方でした。ところが最近では、タレントマネジメントという考えが欧米でも流行してきています。

それは日本では昔からある当たり前の”人事管理”手法です。『営業よりもマーケティングのほうが向いているかもしれないから異動させよう』とか、社員を細かく見る。適材適所で人をローテーションさせ、結果、終身雇用制となるのは、悪いことじゃない。これから欧米でも人材の囲い込みに注力していくことになり、グローバルでの人材採用は新卒・中途ともにますます激化していくでしょう」

引用元:CEO社長情報

記事掲載日:2014年7月

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