LEADERS FILE

日本のこれからを見据えたビジネスリーダーたちの次世代を切り開くメッセージを収録。

FILE NO.0144
士業金融

アクタスマネジメントサービス株式会社 加藤幸人 | 買収側アドバイザーとして意思決定の根拠を提供する

アクタスマネジメントサービス株式会社 代表取締役 加藤幸人

買収側アドバイザーとして意思決定の根拠を提供する

アクタスはアクタス税理士法人、アクタスマネジメントサービス、アクタス社会保険労務士法人、アクタスITソリューソンズの4法人で構成されているコンサルティンググループである。グループを統括する加藤幸人氏は、1989年にアクタスの前身である稲村会計事務所に入所。入所当時8名であった事務所は現在総勢約120名、東京の赤坂に本部を置き、都内は荒川と立川、大阪は肥後橋と4つの拠点を持つ組織にまで成長を遂げている。

顧問先は、創業まもないベンチャー企業から東証一部上場企業まで約1000社に及ぶ。

中小企業・ベンチャー企業には税務から人事まで管理部門のトータルサポートを提供し、上場企業にはアクタスが先行的に取り組んできた連結納税をはじめ、税務の専門性の高い支援を手がける一方、M&A支援や企業再生支援、流動化・証券化スキーム策定支援などにも積極的に取り組み業容を広げている。

この数年、新規案件として毎月依頼されるのがM&A支援である。おもに顧問先やその取引先から買収先候補の評価を依頼され、アクタスは買収側アドバイザーとして支援を行なっている。M&A仲介会社に買収要件を伝え、提示された候補企業の総資産やキャッシュフローなどを評価、さらにデューデリジェンスを実施して、適正な買収価格を「参考価格」として算出する。買収資金の調達が必要であれば銀行につなぐ。

アクタスマネジメントサービス株式会社 加藤幸人社長 インタビュー画像1-1

アクタスの優位性は何だろうか。加藤氏はこう答える。

「第一に、税理士法人が母体なので税務・会計領域に強いこと。とくに対処できる会計事務所が限られているM&A税制に強いこと。第二に、社会保険労務士法人を持っているので、M&A後の雇用条件や人事制度の調整と手続きに精通していること。第三に、M&A後の会計業務と会計システムの統一など実務について、軌道に乗るまでフォローできること」。

買収効果を重視し、買収を断念させる場合も

M&A支援の受託案件数は年間約20件ペースで、成約に至るのはそのうち約半数。さまざまな業種から依頼されるが、IT、日用雑貨専門店、アパレル販売店、総合小売店などが多い業種だ。とくにアパレルでは、同業者の買収だけでなく、アパレルの販売店がOEM体制強化に向けてメーカーを買収したり、小売店がコストダウンを目的に仕入業者を買収したりするケースも多いという。

M&Aは、買収側が「この会社が欲しい」と思えば、売却希望価格が参考価格を相当上回っていても、高値掴みを覚悟で価格を追いかけてしまいがちだという。主に市場シェア拡大を目的とした場合で散見されるパターンである。

そんな時に、アクタスが買収側に強く説くのが「買収効果」である。かりにアクタスが自グループのM&A業務を最優先すれば成約に向けて動くだろうが、「これ以上の価格で買収することは効果においてマイナス」と判断すれば、買収を断念させる場合もあるという。

「参考価格と乖離した価格で買収した場合、買収資金を借り入れていれば買収後の資金繰りで苦しむことにもなりかねず、本体の経営を揺るがしてしまう懸念がある。もっと有効な資金の使い方があるはずだと提言して、買収を断念させている」(加藤氏)

アクタスマネジメントサービス株式会社 加藤幸人社長 インタビュー画像1-2

M&A以外でも、アクタスは再生支援に積極的に取り組んできた。2013年3月に中小企業金融円滑化法が終了するまでは、毎年20件前後の企業再生を手がけてきた。東京都、神奈川県、静岡県などの中小企業再生支援協議会から委託され、銀行に提出する事業再生計画の策定に関わり、事業再構築と収支改善に取り組んだ案件も多い。

静岡県では伊豆地域の温泉旅館の再生案件に数多く関与し、第二会社方式による再生支援も多く手がけている。「税理士と会計士はともすると数字づくりが中心となるが、アクタスは事業面にも口を出し、事業改善を意識した事業計画の策定支援を取り組んでいる」と加藤氏は言う。

今後、アクタスが重点的に強化してゆく業務領域は、連結納税、相続税、M&A支援、流動化・証券化、人事コンサルティングの領域である。人事コンサルティングでは、マイナンバーやストレスチェックなど新しい業務が目白押しだという。

また、新たなコンサルティング分野として地方公会計支援にも取り組み始めた。2015年1月の総務大臣通知「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」により、全ての地方自治体において15年度~17年度の3年間で、固定資産台帳を整備し、複式簿記・発生主義による財務書類等の作成することが通達された。地方自治体の所管部署では未知の取り組みなので、マンパワーが足りなかったり、専門的な知識を必要とする自治体も少なくない。「そんな自治体を支援していきたい」と抱負を述べる加藤氏は、一般社団法人地方公会計研究センターに登録し、研究員となって「これから市町村に営業をかけていきたい」と意欲を示した。

引用元:M&Aタイムス

記事掲載日:2015年8月10日

POST

Edit

アクセスランキング

ACCESS RANKING

編集部厳選インタビュー

STAFF SELECTION
新着記事
NEW ARRIVALS