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株式会社カヤック 柳澤大輔 | ユニークすぎるほどの働き方で有名な会社の目標離職率は20%

株式会社カヤック 代表取締役CEO 柳澤大輔
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どういう会社にすると面白いかをいつも考えている

「僕は社員を幸せにしようとか、満足度を上げよう、社員は守るべきものだという言い方もしたことがありません。そんなおこがましいようなことができるとは思えないから。ただ、カヤックに入ったからには個々の社員にとって自信がつくという組織にしたい。本人が自由に自分で人生を切り開いていくような人間になれる会社、そんなイメージですね」

株式会社カヤック代表取締役CEOの柳澤大輔はそう語る。

1998年に大学時代の友人3人で創業。ウェブサービスやスマホアプリ、ソーシャルゲーム等の自社運営および受託開発が主なビジネスモデルだ。2005年以降右肩上がりで売上げを伸ばし、13年度の売上高は28億円、200人の社員はほぼ全員がクリエイターという開発企業だ。

「面白法人カヤック」の名前はIT業界ではもちろん一般にもよく知られている。おそらく「何をやっている会社かはよく知らないが名前は知っている」人が多い。その理由は、ユニークな社内制度がよく話題になるからだろう。

たとえば、毎月サイコロを振った出目で給料が決まる「サイコロ給」(基本給×1〜6%が加算)。行きたい場所に数ヶ月単位でオフィス兼住居を借りて働く「旅する支社」(過去に伊豆、京都、イタリア、ハワイなど)。毎月社員が仲間のいいところを見つけて褒め言葉を贈る「スマイル給」。

社員採用試験では、「カンニングOK! 私語OK! 面白センター試験」(ネット検索や周囲の人との相談が可)や、オリジナルの会社説明会バスで日本全国3900キロメートルを巡った「旅する会社説明会」、エイプリルフール限定で経歴詐称を認める採用など、よくぞこんなアイデアを思いつき、よくぞこれを実行すると感心してしまう制度や取り組みが目白押しなのだ。

IT企業の立地としては不便な鎌倉に本社を構えている理由は、鎌倉が好きだから。海から徒歩1分のところに社員寮があり、庭の畑で無農薬野菜を育てている。名刺は社員本人の似顔絵で、その年に最も活躍した社員は好きな漫画家に自分の似顔絵を描いてもらえる新・漫画名刺制度も昨年よりスタート。そうしたアイデアは社内からどんどん生まれてくる。

「正直無駄な部分も多いかもしれないけど、どういう存在の会社であれば面白いかをいつも考えている」。では面白くするために最も重要なことはなにか。それは一緒に働く仲間の採用だと柳澤は言う。

「僕たちは創業期から『何をするかより誰とするか』というキーワードを大切にしている。まず、自分の天職がクリエイターだという人しか採用しない。そういう人はたぶん嫌々働かないからです。そのうえで、既に一緒に働く仲間が重要だと思っている人を採用します。クリエイターには自分の仕事が良ければ仲間はあんまり重要じゃないという人もいますが、そうじゃないほうの人を採る。そういう仲間が集まると、作り方のプロセスも必然的にコラボスタイルになってくるんですよ。誰か天才的な一人に乗っかるというよりは、みんなで作り上げていく。誰が言い出しっぺかもはっきりしない。そういうスタイルです」

サイトには撤退した事業一覧を載せる理由も明記

会議はブレストが基本。言いたいことは何でも言っていい環境のなかから、面白いアイデアが飛び出してくる。人材育成についても、短所や課題を直すというよりは、長所を伸ばしてその人なりのオリジナリティを追求していくという世界観だという。

経営層はトレンドを読んで力を入れるべき領域は示すが、何を作るかはメンバーに任せる。月1回、各自がコンテンツのモックアップを作ってきて発表する場もある。

「それを他の誰かが拾って盛り上がると、やりたい人が手を挙げてチームができて、開発してリリースしてしまう。それがユーザーに支持されたら伸ばしていく。ダメなら止める。ニーズを分析して事業計画書を書いて収益プレゼンをしてといった会議はやりません。全員クリエイターだから、ある程度形にして見せたほうが早い」

とにかく多数のサービスをリリースすることを優先させており、失敗をマイナスと捉えない。同社のホームページには撤退または売却したサービス一覧があり、サービス内容と制作メンバー、撤退理由などが明快に紹介されている。それは「失敗から学ぶ」を超え、失敗を誇っているようですらある。成功して売上げに貢献した者は年に4回の賞与で還元されるが、失敗を理由に低く評価されることはない。

評価制度も斬新だ。

「同じ職種の社員で互いを評価する仕組み。全員が各々社長になったつもりでたとえば20人いるとすれば1位から20位まで主観で給料の順位を決め、その合計で給料が決まる。新卒で入ってもいきなり真ん中ぐらいに来ることもあるし、仕事のやりようでは30代40代になって下がる人もいる。だけどこれが結果的に一番納得感のある順番になるんですよ」

仕事が面白い。会社が面白い。それは社会人として幸せなこと。この会社で長く働きたいと思う社員もいるはずだ。だが同社は常に離職率を20%近くに保つことを目標にしているという。

「カヤッククリエイターのキャリアは入社して10年ぐらい経つと、一握りのスーパークリエイターになるか、マネジメントに回るかの選択肢になります。それ以外の人は、ピークを迎える手前の一番いいときに独立か転職かを選ぶ。広く活躍する人材が増えれば、カヤックが『あそこから出る人材は使える』と評価を得て、若い人からは『あそこに入ったら次に転職もしやすい』と思われるという好サイクルになる。辞めた人も含めてカヤックの生態系と捉えていて、独立してカヤックの仕事を一緒にやっているクリエーターもかなり多い。200人の組織でこれまで約400人が辞めているので、2倍の生態系になっていますね」

同社の経営理念は「つくる人を増やす」。その理念通り、IT業界におけるクリエイター人材輩出企業になっているのである。

引用元:CEO社長情報

記事掲載日:2014年7月

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