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株式会社ベクトル 西江肇司 | 上場企業で唯一、7期連続25%以上の増収増益を行う№1PR会社のPRモデルは 「コミュニケーションテクノロジーファーム」

株式会社ベクトル 代表取締役社長 西江肇司

広告を活用する手法は2015年に変化
オバマ大統領選挙PRチームをモデル化

ベクトル社長の西江肇司氏は、2015年に米国のPR専門誌「PRWEEK」による「世界で影響力のあるPRプロフェッショナル300人」に選出された。日本のPR会社は、ロッキード事件にも登場した福田太郎が1948年に設立した福田渉外事務所(のちのジャパンPR)が第一号と言われ、長らく世間からは見えにくい業界だったが、西江氏は東証一部上場を果たしてPRビジネスを可視化した。日本では紛れもなく第一人者である。

西江氏が1993年に設立したベクトルの特徴は業態の進化にある。2年前に取材したとき、西江氏は同社の業態を「PR商社にしていきたい」と語った。PR事業に加えて、グループ会社のオーバンが節電マシーン、ビタブリッドジャパンがスキンケア商品を扱うなど商社機能も強化する方針を示したが、さらに業態を見直して2016年からは「コミュニケーションテクノロジーファーム」と打ち出している。

西江氏は、米国オバマ大統領の選挙活動を例に説明する。

「オバマ大統領の選挙チームには、コミュニケーションファームという専門のコミュニケーションチームが組織され、ウェブサイト、SNS、テレビCM、動画配信などすべてのコミュニケーション活動を担当している。同じ活動はバーバリーの商品マーケティングでも行なわれている。今どきのモノを広め方は、発信する情報、発信の仕方、発信するデバイス等コミュニケーションの仕方が多岐に渡るものが求められている」。

株式会社ベクトル 西江肇司社長 インタビュー画像2-1

年5000万円以上の受託費をベースに7つの機能を提供して訴求効果を激変
コミュニケーションテクノロジーファームとは、どんなビジネスモデルなのか。1クランアントからの年間5000万円程度の受託費をベースに
①インフラ構築(リリース配信、WEB・CMSサービス)
②ターゲット訴求(アドテクノロジーを活用したターゲティング)
③情報拡散(PR、インフルエンサーマーケティング)
④継続的な情報発信
⑤話題化イベント
⑥企業価値の訴求(ブランドTV)
⑦企業イメージ向上(タレントキャスティング)。この7つの機能を提供するモデルである。

西江氏は、訴求効果に加えてスピードとコストもメリットに挙げる。

株式会社ベクトル 西江肇司社長 インタビュー画像2-2

「スマートフォンなどを通して、ニュースによって消費が行なわれる時代に変った。当社はクライアントの情報をニュースに加工して発信している。雑誌に広告を打つとしたら、編集や印刷を経て読者に届くのは3カ月ぐらい先になってしまうが、スマホへの動画配信なら即時に情報が届く。費用も広告に比べて年間で10分の1ぐらいに削減できる」。

16年2月末時点で1236件のプロジェクトが稼働し、18年までに年間2000件を稼働させる計画だ。取材当日、同社内の専用ルームで上場企業社長が決算説明用のIR動画の撮影に応じていたが、これも重点的に強化してゆくサービスである。

同社の足跡を振り返ると、2000年に成長モデルを確立した。1クライアントから、年間のリテナー契約700万円、300~600万円のPRイベントを年に1~3本、100~400万円のTV―PRを年に1~3本という内訳で、年間1000~2000万円で受託してきた。

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このモデルを15年まで継続する過程で、国内で売上高トップのPR会社に台頭したのだが、西江氏は「当社の成長の原動力はベンチャー精神が旺盛でITに強いこと。ITを駆使した戦略的PRの手法を確立したことが業績につながった」と語る。あるいは、他のPR会社がIT対応に遅れていたことも幸いしたのだろうか。この点については「他社についてはコメントしない」と自他の立場を重んじた回答だ。

16年2月通期は売上高96億8500万円(16・4%増)、営業利益16億1800万円(29・0%増)、経常利益15億600万円(26・9%増)と7期連続の増収増益となった。同社の調べによると、直近の決算で営業利益が7期連続で25%以上を継続している上場企業は当社のみという。

グループ会社、投資先の2社が上場
グループ会社から10社、投資先から100社を上場へ

同社はPR・IR支援事業から派生させて投資事業も展開し、子会社でニュースリリース配信のPRTIMESが16年3月31日に東証マザーズに、投資先のエボラブルアジアが、同じく3月31日に東証マザーズに上場した。現在の投資先は40社ほどで、毎日1~2件の投資案件が持ち込まれるという。投資対象先にはIPOが視野に入った段階が多く、西江氏が直に証券会社との付き合い方などを伝授している。

株式会社ベクトル 西江肇司社長 インタビュー画像2-4

「証券会社と発行会社の関係には利益相反の側面もあるが、経験がないとわからない。私は当社の上場経験やIR支援事業から適切な方法をわかっているので『その問題なら証券会社ではなく、東京証券取引所に相談しなさい』と教えることもある」。

グループ会社から10社のIPOを果たし、投資先は100社に拡大する計画である。すでにIPOのスケジュールが見えた投資先も、数社あるようだ。

17年2月期の業績見通しは8期連続の増収増益で、売上高120億円(23・9%増)、営業利益21億1000万円(30・4%)、経常利益20億円(32・8%)、当期純利益11億円(30・8%)を見込んでいる。PR事業を年30%ペースで伸ばし、新規事業とM&Aを強化して、2020年にグループ営業利益100億円をめざす。

interviewer

KSG
関 幸四郎

interviewer

経済ジャーナリスト
小野 貴史

引用元:ベンチャータイムス

記事掲載日:2016年6月13日

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