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サービス業

株式会社ベネフィット・ワン 白石徳生 | 「インセンティブ・ポイント」は 慢性的人手不足時代の救世主か!?

株式会社ベネフィット・ワン 代表取締役社長 白石徳生

ありそうでなかったポイントプログラムの総合アウトソーシングサービス

福利厚生のアウトソーシング事業(「ベネフィット・ステーション」)で、国内トップシェアを誇るベネフィット・ワン。会員数は、年率で2ケタ以上の伸びを継続し、2014年4月時点で602万人にのぼった。そのベネフィット・ワンが2008年からスタートし、成長のドライブとして特に注力しているのが、インセンティブ事業だ。

同社が展開しているのは、企業が従業員や販売代理店等に与えるインセンティブをポイント化し、ポイントに応じてサービスメニューのなかから好きな商品を選ばせるマッチングサービス。このシステムは、「インセンティブ・ポイント」(旧称:インセンティブ・カフェ)と名づけられている。交換できる商品やサービスは、福利厚生事業で培ったサービスの一部が活用されており、ベネフィット・ワンのプラットフォームを多重的に活用できている事業といえよう。

「ありそうでなかった。日本だけでなく、外国にもなかったサービスだと思います」
と同社の白石徳生社長の語り口はさらりとして謙虚だが、この「インセンティブ・ポイント」、実は、世界でも類を見ない画期的なサービス。従来なかった、ポイントプログラムをアウトソーシングで行なうという発想の転換から生まれた素晴らしいシステムである。

そもそも、同社が社内的に行なっていた社員に対する営業報奨金制度を、VISAの商品券を用いるのではなく、ポイントプログラム化したところ好評だったため、「商品として社外に売ることができるのではないか」と考えたのだという。

モチベーションとロイヤリティを高め従業員がやめない企業に変身させる

インセンティブ・ポイントの当初の顧客としては、製薬、生保、化粧品などの会社が中心で、明らかに営業インセンティブとして活用されていた。ところが、ここ数年は、リテンションプログラムとして導入するケースが増えてきているという。すなわち、人材を定着させるための有効なシステムとして利用され始めているということだ。人手不足の顕著化したこの1〜2年くらいは、サービス、外食、流通全般の企業の利用が増加しているという。

なかでも、いち早くインセンティブ・ポイントのプログラムを導入し、大きな成果を上げているのが、アミューズメント業界のA社。離職率は大幅に減少、現在では30%台にまで減少しているといい、なんと2億円近いコスト減(導入前比較)につながっている。

「このお客様は、導入時からデータをとっておられ、エビデンスが出ています。スタッフの入れ替えが多く、採用コストが高騰しておられたのですが、繁忙期に進んで出勤するスタッフも増え、帰属意識とモチベーションが大きく高まった。また、採用コストを大幅に抑えた効率的なリクルーティングが実現したと聞きます」(白石社長)

一昨年から昨年にかけてインセンティブ・ポイントの契約社数は約40%アップ、同プログラムの有効性に期待する企業が増えている。そうした期待に応えて、ベネフィット・ワン側でも、ポイント申込みまでの導線を短くしたり、出荷日を確認できる機能を加えたり、また、スタート時は1500品目にすぎなかったポイント交換可能商品も約1万に増やすなど、ユーザーに喜ばれる改良を加えている。

単なるリテンションだけでなく社内活性化のためのコミュニケーションアップに

さらには、2009年から、ポイントを同僚に譲れるシステムを追加。営業先企業を紹介してくれたり、資料制作を手助けしてくれたりした場合、「ありがとう」のメッセージとともにポイントを贈れるようになった。また、代理店や店舗の長が、企業から受けとったポイントを、現場の責任者として評価するスタッフに再配分できるシステムも加えられ、社内コミュニケーションおよび現場での適正評価に役立つツールとして、企業サイドの活用の可能性がさらに広がっている。

そんなインセンティブ・ポイントの可能性は、少子高齢化で慢性的な人手不足に陥っている日本国内にとどまらない。いたってシンプルで、それだけに普遍性のあるこのビジネスモデルは、海外企業に対しても有効。ことに、人手不足が深刻化しはじめているアジアにおいて、現地企業からの引き合いは多く、契約企業も増えつつある。

ライバル企業もそろそろ現れつつあるが、「税制への対応などを含め、プログラムの運営そのものはそれほど簡単ではありませんので、当社の実績、ノウハウを超えることは難しいと思います」

と、白石社長の語調はあくまで頼もしい。

interviewer

KSG
眞藤 健一

引用元:アミューズメントタイムス

記事掲載日:2014年8月

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