【株式会社エスプール】サービス品質を切札に課題を解決、競争力強化を図る

代表取締役会長兼社長/浦上壮平

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仕事への適性で選抜、教育期間を経て派遣する

今年度5期ぶりの増収増益を目指すエスプールにとって、喫緊の課題はサービス供給力の増強である。会長兼社長の浦上壮平は現状の供給力に危惧を示す。

「昨年秋ごろから景気が回復している。当社へのオーダーがどんどん増えているが、60%ぐらいしか対応できていない」

需給ギャップの原因は景気回復だけではない。労働者派遣法の改正、障害者雇用促進法の改正、高齢者雇用安定法の改正、団塊世代の大量退職。これらが、人材派遣とアウトソーシングを展開する同社への需要を急増させているのだ。

同社の収益力の最も大きな要素は、サービス品質である。それが競争力を発揮して、設立9年目に大証ヘラクレス(現JASDAQ)上場を果たし、増収増益への展望を導いたのだ。

同社が稼動させている派遣人材は月に2000〜3000人。正社員を1人つけて、チームごと派遣するグループ型派遣が中心で、データベース化された登録者のなかから仕事への適性により選抜し、一定の教育をして派遣するという方式が評価されている。

「派遣先の業務改善や目標達成などの課題解決を目的に派遣しているので、一般的な人材派遣とは違う。だから、ほかの派遣会社と競合関係になっていない」(浦上)

サービス品質は派遣先での実績に現れている。たとえば、携帯電話販売代理店に派遣された女性スタッフは接客コンテストで、派遣先のプロパー社員を差しおいて全国優勝した。

ロジスティクスアウトソーシングではEC事業者20社の物流を受託。ネット上の評価等級であるレイティングの上昇を成果指標に設定し、納期や梱包管理を徹底する。「当社に委託すればレイティングが上がるという評判を作り出している」(浦上)という。

攻めの体制構築へ支店開設などに先行投資

昨年度(12年11月期)の売上高は、子会社の売却で10・7%減の44億9100万円だったが、営業利益は47・9%増の4800万円を達成。今年度はそれぞれ52億6200万円(6・5%増)、8000万円(65・8%増)を見込む。「事業拡大に向けた攻めの体制を構築」という経営方針のもと、供給体制の強化策として先行投資に着手する。

人材派遣サービスでは銀座支店、上野支店、池袋支店を開設。ロジスティクスアウトソーシングでは第二物流センターを開設する。同様に障害者を農業に就労させる雇用支援サービスで、第二のビニールハウスを開設する。ハウスでは顧客企業9社が計21人の障害者を雇用しているが、法改正によるオーダー増を見込み、増設をする。

新事業も拡大していく。顧問派遣とアクティブシニア派遣に続いて、スーパーやドラッグストアなどの店舗巡回・販売支援業務、福島県での除染業務を開始する。

16年11月期の目標は売上高100億円、営業利益5000万円。ビジョンに「お客様に選ばれるNo.1アウトソーシング・プロバイダーとなる」を掲げ、M&Aも施策に入れる方針だ。

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