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株式会社ハーツ 橋本雅隆 | 不動産業をベースにM&Aも展開する京都企業 豊富な人脈生かし、水面下の情報をキャッチ

株式会社ハーツ 代表取締役 橋本雅隆

京都は日本を代表する国際観光都市であり、大学などの教育研究機関が集まる学術都市でもある。京都人は、多くの観光客や学生を受け入れているため、開放的な気質を持つ半面、花街の「一見さんお断り」で知られるように、伝統や長年の信用を重んじるため、閉鎖的な気質も併せ持っている。京都に市場参入したものの、京都人独特の閉鎖的な気質がネックになって、苦戦する外部の企業も少なくない。ましてや、京都では馴染みのないM&Aという手法で市場参入しようとすれば、猛烈な反発と抵抗に遭うともいわれる。そんな中、不動産業をベースに、“京都の企業”ならではの流儀でM&Aの仲介サービスに乗り出し、注目されているのがハーツだ。

橋本雅隆社長は、京都生まれの京都育ち。先代より不動産業を営んでおり、不動産業をメーンに、生命保険代理店、九州産石材の販売なども展開している。営業エリアは京都中心で、不動産業が売上げの約8割を占める。ちなみに、“ハーツ”とは四つ葉のクローバーのこと。四つの葉は「熱い心」「強い心」「優しい心」「誠実な心」という同社のポリシーを現している。なお、橋本社長は何か地元に社会貢献がしたいという気持ちもあり、同社の本社ビルには待機児童の解消を目的とした京都初の小規模保育園がテナントとして入居している他、民間の放課後等デイサービスも入居している。今後も学習塾など子供の教育に関わる事業者に入居して頂きたいと考えている。

橋本社長の強みは、「親子二代で培ってきた地元の人脈」。先代より引き継いだ多業種にわたる取引先との交流を大切にしていることに加え、自身の交友関係も30~70代と幅広い。そうした人たちに、ビジネス上も大いに助けられているという。「不動産業の成否は、水面下の“けむり情報”を先につかめるかどうかにかかっていますが、そうした情報はプライベートな付き合いがないと入ってきません」(橋本社長)。例えば、料亭の経営者が病気で危篤になり、関係者から「子どもは誰も家業を継がないらしい」といった情報をゲットできれば、相続に伴う不動産売却などのビジネスチャンスに、いち早く食い込めるわけだ。とりわけ京都では、けむり情報をキャッチするのが難しいと、橋本社長は指摘する。「私はよく、京都を“大きな田舎”といっているのですが、狭い社会で、すぐに周囲に情報が伝わってしまうので、京都人はなかなか本音を口にしません。そこで、コツコツと築き上げた人間関係が役に立ちます。相手の身元が確かで、信用できるとわかって、京都人はようやく心を開くからです」。

株式会社ハーツ 橋本雅隆社長 インタビュー画像1-1

京都には、何代も続く老舗がひしめいているが、昨今はご多分に漏れず、後継者問題に悩む企業が続出しているという。昨年から同社がM&Aに手を広げることになったのも、それがクライアントにとって最善のソリューションになる場合もあるからだ。

「お客さまのお話をよく聞いてみると、後継ぎがいないのでやむなくお店をたたみ、残った土地を処分することにしたというケースが目立っていたんですね。それなら、単なる土地の買い手ではなく、お店を引き継いでくれる企業につないだほうが、お客さまにとって本当のサポートになると考えたんです」。

例えば、先祖代々の店舗を壊して更地にし、見ず知らずの買い手に引き渡すのは、売り手にとって忍びないだろう。もし、経営理念も暖簾もそのままに店舗を続けてくれる企業が現れたら、そのほうが喜ばれることもあるだろう。また、事業譲渡となれば、不動産だけでなく、事業としての評価も加わるため、売り手にとっては大きなメリットを得やすい。同社ではそうした場合、売り手の意向やニーズを熟知したうえで、譲渡先としてふさわしい企業を探す。M&Aというよりは、事業承継のマッチングサービスに近いといえるだろう。また、金銭貸付、債券売買、信用保証といった金融の付帯サービスも行い、事業のスムーズな橋渡しができるように取引先をバックアップしている。

京都では主に旅館やホテルのM&Aにかかわっており、20年以上の取引がある九州でも、後継者難に陥った旅館の事業承継を支援しているという。「私は東京にも知人が多く、事業承継について個人的に相談を受けたりもしています」。

株式会社ハーツ 橋本雅隆社長 インタビュー画像1-2

引用元:M&Aタイムス

記事掲載日:2017年7月7日

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