自社で実証ずみのメンタル対策商品 成功の裏に 生産性の高い「個」と「組織」
「メンタル不調な社員」を優しく支えるだけではだめ
1999年設立の株式会社アドバンテッジ リスク マネジメントは、企業にメンタルヘルス対策サービスを提供するメンタリティマネジメント事業と、病気やケガで長期休職した場合の所得を補償する「団体長期障害所得補償保険(GLTD)」の制度を提供する就業障がい者支援事業を柱に、急成長を遂げてきた。
「弊社では、従来までのメンタルヘルス対策から一歩進んだ『メンタリティマネジメント』をクライアント企業に提供しています」
社長の鳥越慎二が同社のメンタリティマネジメントの基本的な流れをこう話す。まず社員の状態を把握するために、ストレスチェックを行なう。その結果を受けて、メンタル不調者にはカウンセリングやトレーニングを実施し、また、不調でない社員に対しても、効果的なストレスへの向き合い方をレクチャーしながら、前向きな思考を身につけてもらう。それと並行してコンサルタントによる組織診断を行ない、管理職向けの研修や、適切な解決法を提案する。
その効果は、メンタル不調者の回復や精神疾患の予防にとどまらない。
「メンタル不調者を優しく支える、それがメンタルヘルスケアの一般的な考え方です。しかし、不調なのは全社の約10%未満であり、逆にケアする力が強すぎると組織全体が弛んでしまう可能性もあります。不調者を支えながら、不調でない人の引き上げを同時に行なうことで、組織全体のモチベーションを維持し、生産性の向上を目的とするのがメンタリティマネジメントです」(鳥越)
価値観の共有が結束力と帰属意識を高めるカギ
そのプログラムを導入し、着実に成果と収益を上げている会社が、他ならぬアドバンテッジ リスク マネジメントである。ただし、自社にも注意しなければいけない点があると、鳥越は目を光らせている。
「われわれが陥りがちなのが、馴れ合いの関係になってしまうことです。社会には厳然たる競争があるわけですから、ときには厳しさも必要なのです」
会社が競争力を身につけるという意味では、優秀な社員を確保することも重要だ。そのため、経営者なら給与などの条件面も気になるところだろう。しかし、鳥越は給与水準に重きを置いていない。
「端的に言うと、会社や仕事へのエンゲージメントと給与の関係性はゼロです。同業他社よりも極端に給与が低いというのは問題ですが、重要なのは、どうなりたいのか、社会に対してどのような価値を生み出しているのかを共有し、社員にやりがいを感じてもらうことです」
この考え方は、成果を上げた社員に高い報酬を与えてモチベーションを上げようとする、ブラック企業の経営手法と明らかに異なる。費用対効果という面でもメリットがあるのはどちらなのか。精神疾患の発症リスクなどを踏まえて計算するまでもなく、自ずと答えが出てくるはずだ。
引用元:CEO社長情報
記事掲載日:2015年1月