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株式会社パスポート 濱田総一郎 | 常に好業績を維持する流通業の 根底を支える〝フィロソフィ〟

株式会社パスポート 代表取締役社長 濱田総一郎
株式会社パスポート 濱田総一郎社長 記事サムネイル

経営思想を話しているうちに「買収」がまとまった

2013年12月30日にどんでん返しが起きた。

千葉県内などで食品スーパーを多店舗展開する大島中村屋(東京都江東区)が後継者難を理由に、ある企業への身売りを決断し、前日の29日に譲渡契約をA社と結ぶことに決めた。翌30日。買い手候補の1社だったパスポート社長の濵田総一郎は銀行に勧められ、同社社長と面会したが、もはや買い手候補でないため、自らの経営思想を語り始めた。

30分近く経ったとき、濵田の話に耳を傾けていた社長が突然、その場でA社に電話をかけた。

「申し訳ないが、昨日約束した件はもう一度考えさせてもらう」

相手は売却先の社長だった。そして電話を切った直後に「パスポートに買収してもらったほうが、うちの従業員は幸せになれそうだ」と切り出し、14年1月に、年商40億円、従業員300人の会社を同社に売却したのだった。

鹿児島出身の濵田は、同郷の京セラ名誉会長・稲盛和夫氏が主宰する盛和塾横浜で代表世話人を務めている。盛和塾の活動にそれだけ関わるほど経営思想を極めて重んじ、実践もしている。

同社の事業は生鮮食品と酒類などの業務用スーパー「PASSPORT」と酒類専門店の2業態が中心。それに養老乃瀧が運営する「一軒め酒場」のフランチャイズ店運営、酒類と食品の輸入販売、太陽光発電システムの販売・設置などが続く。14年3月期には連結売上高332億4932万円、経常利益10億5388万円を計上した。

  「吟醸酒のように混じり気がない社風」

人員は正社員350人とパート1400人におよび、この約18
00人を束ねているのが、濵田が体系化した「パスポートフィロソフィ」である。

同社の社是は、濵田が幼少期より父親から学んできた「敬天愛人」。「社会を幸せにするために人類が共有すべき世界最高の言葉である」と力を込める。

経営理念に掲げる「良知経営」は「魂が喜ぶような経営」(濵田)を意味する。濵田は説く。

「人間には肉体を維持する欲求である肉性意識、感情などの心性意識があるが、それとは根の異なるのが魂であり、私は『良知』と呼んでいる。魂は宇宙意識やサムシンググレートに通じていて、肉性意識と心性意識をコントロールする霊性意識を持つ。霊性意識をもって天が喜ぶ生き方を実践しないと真っ当な人生を送れないし、真っ当な経営もできない」

この理念を「経営の原点12ヵ条」と48項目のパスポートフィロソフィにまとめた冊子が全社員に配布され、朝礼で輪読するなど社員の思考や行動の基準になっている。さらに毎月1泊2日のフィロソフィ研修を行ない、濵田が講師を務めて浸透を図っている。こうした取り組みの結果、例えば会議で激論が交わされると、着地点はパスポートフィロソフィに照合して見出されるという。

「吟醸酒のように混じり気がない社風にして、社員は人として正しいことを正しいままに貫くことが最も大切だ」

パスポートフィロソフィが観念論でなく、実践論であることは同社の業績が実証している。15年3月期には連結売上高440億円、経常利益14億円を見込む勢いだ。

引用元:CEO社長情報

記事掲載日:2015年1月

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