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FILE NO.081
外食産業

株式会社ダイヤモンドダイニング 松村厚久 | 飲食の世界に非日常を。 夢のような サプライズを店内で提供し続ける

株式会社ダイヤモンドダイニング 代表取締役社長 松村厚久

山手線内グループ店舗数は都内最大規模を誇る

一般消費者にとって、その社名は知る人ぞ知るだが、飲食業界においては、その名を知らぬ人とてないダイヤモンドダイニング。それもそのはず、グループが山手線内に擁する店舗数は160を超え、ワタミ、モンテローザ、ダイショーなどの有名チェーン店を抜いて都内最大の規模を誇っているのだ。消費者にしても、社名を知らずとも、同社が展開する『わらやき屋』、『九州熱中屋』、『今井屋本店』、『MAIMON GINZA』、『バグース』といった店の名前を聞けば、実は、一度ならずとも足を運んだことのある店が多いのに気づく。

これまで店舗数を減らすことなく、この3年で売上げを1・5倍(2010年2月期167億円⇒13年2月期250億円)に成長させた。14年2月期も上半期は既存店売上げで前年実績を上回る(101・4%)など、厳しい外食業界にあって、いまなお成長軌道を歩み続けている。現在グループ総店舗数は225を数え、いまや、同社は飲食業界における押しも押されぬリーディングカンパニーといって差し支えないだろう。

100店舗100業態を達成“熱狂宣言”を新たに打ち出す

松村厚久代表取締役社長は「出す店舗はことごとく当たっている。しかし、当社グループは連結売上げでせいぜい250億円。外食市場約25兆円(12年23兆2386億円・外食産業総合調査研究センター調べ)からすればシェア0・1%の存在です。まだまだこれからですよ」と語るその語調は、謙虚というよりむしろ野心満々・意気軒昂、さらなる高みを目指して、新たな成長戦略を繰り出そうという勢いがある。

12年2月期には、創業当初からの大きな目標であった“100店舗100業態”を達成。現在は “マルチブランド”戦略に転換し、新たな企業理念として“熱狂宣言”を打ち出している。今後の目標は、“出店1000店舗・売上げ1000億円”だ。
こうした会社の発展とともに松村のメディアでの露出も増えてきた。しかもその登場のしかたが、回を重ねるに従いユニークかつ、インパクトの強いものになっている。松村自身、このところハットの収集に凝っており、しかもいずれをかぶっても、その顔つきと頭の形にしっくり似合って、なかなかのダンディーぶりだ。

しかし、そこにはお洒落を意識しての自己満足というよりも、クリエイティビティーとエンターテインメントを追求する彼の姿勢がシンボリックに現れているといってよい。機動戦士のコスプレをしたりマイケル・ジャクソンのブレイクダンスに挑戦したり、その姿にはサービス精神があふれている。そして、「飲食の世界に非日常を演出したい」「夢のようなサプライズを提供したい」「世界一のエンターテインメント外食産業でありたい」などなど、インタビュー中に発せられた言葉のはしばしからも、松村の志と意気込みが強く伝わってくるのだ。

サプライズ体験をもとにヴァンパイアカフェを開店

「非日常の演出」、「夢のようなサプライズ」。松村が飲食の場で徹底的なまでにそこにこだわる原点は、米国オーランドのテーマパークにあるホラーハウスで味わった度肝を抜くサプライズ体験にあるという。
「そこでは4人以上で入場するようにという規定がありました。それ以下では怖すぎて耐えられないというのです。事実、のっけから『13日の金曜日』のジェイソンがチェーンソーを振り回しながら追っかけてきました。あまりにも衝撃的で、そのインパクトを再現したいと思って『ヴァンパイアカフェ』を開店しました」

ドラキュラが眠る六角形の棺桶は特注品になるなど、予想以上に費用がかかったが(約6000万円)、この世にもユニークなカフェはわずか3年で初期投資を回収する。大成功を収めたのだ。
この成功を足がかりに、同社は今日の礎となる発展を遂げていく。

さて、松村が飲食業を目指したきっかけは、実は『サイゼリヤ』との出会いにあるという。大学生当時の松村青年は津田沼にある百貨店に勤めるOLと付き合っていた。彼女とのデートの場所に毎回選んだのが、安くておいしいと評判のサイゼリヤ。そこで、松村はデート相手よりも、まだ数店舗しかなかったサイゼリヤの魅力にハマってしまう。同社でのバイト経験を経て飲食業の開業を目指した彼は、大学卒業後の1989年、サービス業のイロハと総合的な見方を学ぶため、日拓エンタープライズに就職。2001年に独立、日焼けサロンを経営し、蓄えたそのノウハウと資金をもとに『ヴァンパイア・カフェ』を銀座に開業、現在に至っている。

「驚かせたい」「モテたい」が新業態開発へのエネルギー

創業以来10数年、クリエイティビティーとエンターテインメントにこだわり、新しい業態を開発し続けてきた松村。最近では、廉価な店舗を展開する一方で、パブHUBの対抗馬「GLASS DANCE」、客単価平均2万円の焼鶏割烹「しの田」や、13年4月にオープンしたセレブが集う東京・芋洗坂の高級ラウンジカフェ「1967」など新機軸を打ち出す店舗も好調に推移しているという。

100店舗100業態を達成した後も、新業態にこだわり続ける松村にその理由を聞いてみたところ、「みんなを驚かせたい、女性にモテたい、この2つに尽きる」と返ってきた。本人にすればほんの軽口にしか過ぎないかもしれない。しかし、この率直さこそ自らの飲食業を評して、「店作りが一番面白い」「正解がないからこそ面白い」と言い続けられるエネルギーの源泉になっているのだろう。

高知出身の松村は言う。「これからはもっと幕末土佐の血が騒ぐぜよ」。同社からますますもって目が離せない。

引用元:CEO社長情報

記事掲載日:2013年12月

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