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日本のこれからを見据えたビジネスリーダーたちの次世代を切り開くメッセージを収録。

FILE NO.063
人材・派遣

株式会社エフプレイン 平野岳史 | 事業分野にかかわらず上場会社の2つや3つを作れねば本当の事業家とは呼べない

株式会社エフプレイン 代表取締役社長兼CEO 平野岳史

来年の株式上場目指し一直線にまい進中

「たまたま人材派遣事業を手掛けて上手くいったのにすぎないのだろう──。そう見られたとしたら、私にとって不本意なことです。本当の事業家はどんな分野の事業であっても、決められたルールに則って、新たに上場会社を2つや3つは作れるもの。私はそのことを自らの手で証明したいのです」

こう力強く語るのは短期人材派遣サービストップのフルキャストホールディングスの創業者で、現在はエフプレインの社長を務める平野岳史だ。

平野は2001年にフルキャストを店頭市場(現JASDAQ)に上場させ、それから4年後の05年には子会社のフルキャストテクノロジーをJASDAQ市場に上場させた辣腕の経営者。短期の労働派遣事業でフリーターの”救世主”として名を馳せることもあった。

その平野がまったく新しい成長事業を担う会社として大きな期待を寄せ、3年前から経営トップの仕事に専念してきたのがフルキャストマーケティングだ。今年4月に子会社のイーストコミュニケーションズの吸収合併と同時に現在の社名エフプレインに変更したのだが、その狙いを次のように語る。

「エフプレインの『エフ』はフルキャストのエフ。いまでもフルキャストホールディングスの関連会社なのですが、フルキャストの名前がついていると、どうしても人材会社のイメージが強く、それを払拭したかった。そして『プレイン』は『まっすぐ』を意味する英語で、いま一直線に向かっている目標が、来年の株式上場です」

AKBから遺伝子まで同社を支える成長事業

同社には3つの成長事業がある。真っ先に挙がるのがエンターテイメント事業だ。あの超人気アイドルグループ「AKB48」のオフィシャルファンクラブである「二本柱の会」、そしてオフィシャルサイトでプロバイダーサービスを行なう「AKB OFFICIAL NET」の運営を一手に引き受けている。

今年6月に行なわれた5回目の”AKB総選挙”では、上位100位までの総投票数が前回の2倍に達した。ファンクラブの会員になれば、総選挙での投票権が無条件でもらえ、限定グッズの購入もできるため、会員の数は着実に増えている。そして、その会費の一部が運営費として同社の売上げにも計上される。

一方、オフィシャルネットでは会員になると、板野友美のファンなら「tomochin@akb48.ne.jp」といったように自分の”推しメン”の名前をメールアドレスのドメインに使うことができ、徐々に人気が高まっている。こちらの場合、毎月1480円のネット利用料すべてが同社の売上げになる。

これまでの事業活動を通してファンクラブ運営のノウハウを蓄積してきたエフプレインに対しては、「いくつか他のアーティストからの引き合いがきている」(平野氏)といい、これから事業の裾野を広げていく可能性が高い。

そして2番目の成長事業が、3ヵ月前にグループ入りをした遺伝子検査会社「ゲノフ」を関連会社に有する「株式会社H&BP」を通じた新しい健康サービス事業だ。

遺伝子は指紋と同じで一人ひとり違う。その検査は特殊なものに思われがちだが、ゲノフの検査はごく簡単で、頬の内側を専用の綿棒でこすって宅配便で送るだけ。また、専用のサイトにアップされたカウンセリングシートに回答し、3日間の食事の内容と一緒に送信すると、オリジナルの遺伝子栄養分析プログラムによって、「脂燃焼不足」「糖燃焼不足」「筋肉不足」など、どんな遺伝子の要因で太りやすい体質なのかを教えてくれる。それも一回の検査料は7000円(税別)と割安なのだ。

「経済産業省の補助事業である『新たなヘルスケアサービス創出事業』への参加が認められ、アンジェリーナ・ジョリーさんのこともあって、私たちの遺伝子検査に対する引き合いが急に増えています。また、メタボリック対策を進める自治体と組んで、健康診断の中に含める取り組みも始めました」

経営者並みの時間感覚が今後の成長には不可欠

そして残る一つの成長事業が、中古携帯電話の販売を行なう「ECOMO事業」である。全国に14ある店舗や宅配便を使って中古の携帯電話を買い取り、新品の3〜5割の値段で販売を行なっている。

「品質が一定し、壊れにくいスマートフォンが普及したことで、中古の携帯マーケットが一気に立ち上がりました。今年度は5年前と比べて3・5倍の市場規模になると予想されています。当社の取扱量は年率30〜40%の伸びを示しており、シェアも推計で15〜20%を握っていてトップです」

こうした成長事業に支えらえて13年9月期の売上高は前期比64・8%増の37億円(単体)に達する見通しだ。しかし、それらの事業をさらに飛躍させていくのには、200人強いる社員一人ひとりの成長が必要不可欠。その点で平野氏が力を入れているのが、経営者である自分と同じ時間感覚を身につけるよう指導することなのだ。

「私は常に先々の目標から逆算して、いまやるべきことを決め、すぐ行動に移してきました。そうしたスピード感覚を磨くことで、より高みの仕事に挑戦していくことができるようになるからです。そこで毎日の朝礼で、そのことを何度も繰り返して伝えています」

平野氏の謦咳に接した社員のなかから、第2、第3の事業家が生まれてくるのかもしれない。

引用元:CEO社長情報

記事掲載日:2013年8月

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