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株式会社 DMM Bitcoin 田口仁 | 暗号資産の発展に必要なのは取引所の新陳代謝

株式会社 DMM Bitcoin 代表取締役 田口仁

2020年に改正資金決済法と改正金融商品取引法が施行されることとなった。仮想通貨という名前から「暗号資産」へと呼び名が変わったことや、証券性のあるトークンの規定、取引所の規制などが行われる見込みだ。

法施行に向けて、取引所はどのように変化していくべきなのか。そして暗号資産が普及していくにはどのようなビジョンが必要なのか。

大手取引所の一つである株式会社 DMM BitcoinDMM Bitcoinの代表取締役 田口 仁 氏にインタビューを行い、DMM Bitcoinの設立の経緯から、取引所としての強み、そして仮想通貨の未来について語っていただいた。

DMM bitcoinの設立のきっかけ

DMMの事業体は主に3つあって、映像、ゲーム、金融になります。DMMが金融事業に参入したのが2009年で、その前は映像関係のエンタメコンテンツが中心です。金融事業に関しては非常に保守的である、というのが特徴です。

以前、FXが盛り上がりを見せていたにも関わらず、法制度が未熟な時期がありました。その間にDMMは自分たちのチャンスとしてFXを取り扱うことはなくて、しっかりと法制度が出来てから参入した経緯があります。

仮想通貨(暗号資産)の領域に興味を持ち始めたのは2014年

仮想通貨(暗号資産)も同様に法制度ができるのを待ちました。

事業を開始したのは2018年ですが、関心を持った時期は2014年頃です。マウントゴックス事件をみて、一定の層が仮想通貨に対して金銭的な価値を見ていると感じました。仮に価値が見えていなければ事件は起きなかったはずです。

マウントゴックス事件は世間的にネガティブに見えるかもしれません。しかし、DMM社は仮想通貨に価値を見る人がいるということを感じ、我々は、仮想通貨事業に関心を持ったきっかけになりました。

当時はプロトコルレベルのものに参加するか、マイニングか、取引所かを考えていました。取引所はそんなに数が多くなかったですし、DMMは為替事業を行っていたので、それに比べて仮想通貨市場はずいぶんと脆弱だなという印象でした。

仮想通貨取引所は「金融業」であるという理念

仮想通貨市場は法制度ができる以前からかなり盛り上がっていました。しかし、金融事業というのはお客様からお預かりした財産を扱うわけです。そのため、法律上の立場が明確でないものを扱うというのは違和感がありました。

DMMグループ全体の事業規模からみても、金融事業はかなり限定的な規模でしかないです。その中で、お客様の財産の毀損につながることや、レピュテーションリスクを負うということは、他の分野にまで悪影響が及ぶという可能性もあります。そのため法律的な礎がないときには開始しませんでした。

法律が施行されて、市場が大きくなっていることも把握できた時点で参入を決意しました。コストの面と法律上の問題点が生まれにくいなどの事項を総合的に鑑みて、東京ビットコイン取引所とのご縁でグループに入っていただいた形になります。

DMMBitcoinの強み

以前からあった企業は決済手段としてスタート地点では意識してサービスを拡張してきたのかなと思います。DMM Bitcoinは2018年からと後発の取引所なので、自分の強みを生かしていくことが必要になります。結論から申しますと、投資運用目的のお客様に対してアセットクラスとしての暗号資産、そしてレバレッジ取引で多様な銘柄を提供をするというのをメイン事業にしています。

「決済手段」よりも「アセットクラス」としての仮想通貨(暗号資産)

暗号資産で決済するとなると、競争環境が生まれて、そこで商っている人と戦う必要があります。決済の分野で暗号資産は新参であり、ライバルはクレジットカードとなります。すでに圧倒的なナンバーワンとしてのクレジットカード、そして次にSuicaなどの電子決済があります。そこに対して競争優位性を持てるのか。決済事業は非常にレッドオーシャンです。PayPay、LINE Payなど資本力のある企業が強く、すでに市場をもっています。

また暗号資産は価値が大きく変動するので、決済にそぐわないことがあります。そのため、決済サービスを行うのは難易度が高いです。

一方で「決済手段」よりも「アセットクラス」として取引いただくことに関しては、証券会社の知見を活かしていけるだろうと考えました。主に投資家が分散投資をする際の一つの選択肢として暗号資産のサービスを提供していこうという方針です。

豊富なレバレッジ取引の銘柄:現在は7通貨を対象

投資を目的としてサービスを提供するというのであれば、現物である必要はありません。
そこで、現物でなく、レバレッジの中で多様な銘柄を使えるというのが我々の強みと考えました。レバレッジ取引では7通貨を対象に14通貨ペアを取引いただけるサービスを提供しています。これは他の取引所さんと比べると多く、比較していただけるポイントと考えています。(※現物は2種類、3通貨ペア)

今後注目の分野は?「ゲーム」と「個人情報」

注目の分野は「ゲーム」です。これは鉄板でブロックチェーンと親和性が高いですね。

産業的にみて、インターンネットで価値が向上したのは物販など、そのあとに広告、そしてゲームが伸びていきました。ガラケーが高性能になって、パケット放題がリリースされた時点で、アイテム課金が増えました。ガチャなどの問題を経て事業ができてきて、スマホになって、基本プレイ無料・アイテム課金という形と変化していきました。

仮想通貨のトークンエコノミーの原型はゲームの世界

今のゲームのプレイヤーはゲーム内通貨を同じゲーム内でしか使えません。また他のゲームにアイテムや通貨を引き継ぐこともできないです。そこをブロックチェーンを使ったゲームは他のゲームとのやり取りもできるようになります。

ブロックチェーンゲームのアイテムを他人に売却可能になる、そして無料でゲームしていてもトークンを成果として得られる仕組みなどが考えられます。

ゲーム分野の強みは、思わぬところからすごいゲームが出てくるところです。一度大人気のゲームができればそこが業界の中心に変化する。ゲームで面白くて、そこに熱意があるとその時点でプラットフォームになることができます。

ブロックチェーン技術を用いてオープンに課金決済、アイテム交換ができるようになれば、トークンエコノミーを早期に実現することができるでしょう。

中長期的には個人情報管理の分野が親和性が高い

本質的に分散台帳はたくさんのトラフィックに向いていないです。一方で、個人情報は更新されにくいという面があります。

秘密鍵で情報参照の権限を与えたりすると、アカウントの開設が必要なくなり、利便性が上がる。国がやるのか、企業がやるのかで問題が出てくるとは思います。しかしながら、アカウントの概念、口座開設しなくても取引できるとなれば、中長期的には面白いと考えています。

今後のDMM bitcoinの展望

来年施工の法改正は大きなチャンス

法律が求める内部管理体制、業務のあり方、大きく言えば企業風土を交換業者が強化していく、という面では従来よりコストがかかります。しかし法施工後を考慮すると非常に大きなチャンスがあると考えています。まず、事業者から見て法律に書いていない部分があると、そこで迷うので、今回の改正で規律ができたのはいい点だと思います。

今後は内部体制を整備しながら、投資家の裾が広がっていくのに期待をもちつつ、取引所をどう成長させていくかというのがDMM Bitcoinとしても業界としても課題だと考えています。

今後仮想通貨が一般に広がるには「新陳代謝」が必要

暗号資産市場が発展する上で、「決済事業」といってしまうと、キャッシュポイントが多く、参入が難しい領域になってしまいます。一方で「アセットクラス」の1つと言ってしまえば、有価証券市場の発展のメカニズムと類似性を見つけることができます。

有価取引市場がなぜ発展するのかというと、IPOがあるからです。

有価証券市場がちゃんと機能していると、社会の目指す成長の方向に対して有力なサービスを持った人がIPOに参加していきます。以前からある企業の力が落ちればリストから外され、それ以上に成長する企業がリストに入るという新陳代謝が存在し、市場を成長させています。

東証も判断基準を変えていくことになっていて、代謝を上げていくことになっています。

暗号資産市場も新しい銘柄を取り入れながら、古いものをリストから外すことができるかどうかが重要です。

我々は暗号資産の取引所という立場にいるので、その担い手として、今後もマーケットを大きくしていければと考えています。

引用元:ベンチャータイムス

記事掲載日:2019/06/17

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