【株式会社SCホールディングス】エリア安値の入所費用と介護士教育で2015年売上規模は4年で2・4倍に

代表/松本智

サービス・飲食

埼玉、群馬に110施設 主力事業に成長

SCホールディングスは、有料老人ホームを核とした介護事業を担う株式会社ヴァティーと、都内12店舗を構え飲食事業を展開する株式会社ヴァティーサービスを擁する持ち株会社だ。不動産業から出発し、2002年に飲食事業に参入、東京・新橋エリアに和食店をドミナント出店し、コストパフォーマンスのいい店として人気が定着した。

同社の代表松本に介護ビジネスの話がもちかけられたのは、ちょうど、入退院を繰り返す祖母をめぐる介護ビジネスの現状に不満を感じていた時のことだった。そして06年、介護施設第1号を埼玉県深谷市にオープン。当初は赤字だったが1年で黒字転換、その後は飲食店同様のドミナント方式で次々に出店し、現在は埼玉、群馬を中心に110施設を数える。売上げもこの4年間に50億円、70億円、90億円、120億円と急成長し、いまや飲食と介護の売り上げ比率1:12になったという。

事業拡大の推進力は、月額11~13万円という地域安値の入所費用。今ではエリアのベンチマークとなっているという。また「飲食がそうであるように、お互い助け合えること、ことに人材面で融通が利くことが大きい」とドミナント方式の利点を松本は強調する。

最近では資金繰りの厳しくなったエリア内の同業者から、事業売却の相談を受けることも多い。

「1施設をオープンするのに3億円から6億円かかります。それでいてランニングコストもかかるうえ、国からお金が入ってくるのは2か月後。出店を急ぎすぎた業者は持ちこたえられません」(松本)

良好な人間関係づくりと法令順守の徹底

そして、介護施設の経営においてなにより難しいのが、飲食店における職人との関係同様に、介護士との関係だと松本は続ける。
「辞めても明日から別の職場で働ける彼らは給料が若干高くてもダメ。飲食は体育会系の先輩後輩のノリで何とかなるが、介護士の場合は女性中心ですから上下関係は通用しない。とにかくこちらが最大限の努力をして良好な人間関係を構築しなければなりません」

その一方で、介護のように人に役立つ仕事がどれだけ生きがいのある仕事であるかを理解してもらうための教育も必要だ。「介護の分野では法律がどんどん変わっていく。新しいルールに従い法令順守を徹底させることも重要」(松本)。そのため、ヴァティーでは、スタッフの研修・勉強会を頻繁に行なっている。

「シニアのマーケットは大きくなっていくけれど、シニアビジネスは"ばりばりのレッドオーシャン"。とにかく働いている人のレベルアップを継続できるかどうかが勝負です」と語る松本の表情には自信があふれていた。

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