「わたしは、“読売新聞をやめさせないクスリ”“読売新聞を読みたくなるクスリ”を日々考えているんですよ」と西山社長は切り出す。「毎年テーマを決めて読売新聞の購読者の方にいろいろなものをお配りしているのですが、今年はこれでなんとか部数を伸ばそうと」。そう言って見せてくれたのは美しい歌川広重の浮世絵の複製。日本橋から始まる「東海道五拾三次」を、この1月から毎月配布していくのだという。ちょうど2年で全55枚が揃うかたちになる。これならば読者も途中でやめる気にはならないし、新規読者も獲得できるにちがいない。
「こうしたキャンペーン商材を販売店に提供するのがわたしどもの仕事なのですが、リーマンショック以降の各企業の広告費削減のあおりで、本紙の広告収入は激減、販売店の折込み収入も減少傾向にありまして…販売店がキャンペーンに資金を投入しづらい状況になってきているんですね。販売店のキャンペーンが減りますと、確実に部数に影響が出てきます。そこで、少しでも販売店の収入を上げることを考え、読売の場合、8割が対面集金なんですね、しかも集金スタッフの多くは地域に根ざした主婦の方々。当然地域の情報をしっかりとつかんでいます。そういう人たちが毎月800万世帯と対面しているわけです。それを活用して、販売店にプラス・ワンの業務をしていただき少しでも収入を伸ばして活力を得ていただきたい」
その具体的なものとして2011年に本格始動するのが、大手進学塾と組んだポスティングサービス、そしてリフォーム会社と提携しての「読売リフォームセンター」事業。24時間、部数確保を考えている西山社長ならではのアイデアだ。そんな彼が日本の経営者に言いたいのは次のことだという。
「目先のことだけ考えていてはダメですね。3年先10年先のことを考えて投資しなければ。売上の収支だけを見ていたら、とても新しいビジネスなどできません。政府の経済施策は間違っていると思いますが、まあ、人のせいにしてはいけない。まず自分たちで活性化していかなければ」
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