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外食産業

株式会社モスフードサービス 櫻田厚 | FC加盟競争率は50倍の狭き門。 日・仏・モス、3本のフラッグを掲げ シャンゼリゼ通りを目指す

株式会社モスフードサービス 代表取締役社長 櫻田厚
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生業店をベンチマークする約1400店の巨大チェーン

「競合先はどこか?」
「ファストフードチェーン?」
「カフェチェーン?」
「コンビニエンスストア?」

モスフードサービス社長の櫻田厚は、いずれにも首を大きく横に振った。

「当社が意識しているのは夫婦で営んでいるような地域の繁盛店だ。そば店でも、とんかつ店でも業態を問わず地域で長年繁盛している飲食店は、お客様の歴史を知っていて、かゆい所に手が届く接客をする。個人の繁盛店は凄いと思う」
巨大チェーンが生業店をベンチマークしているのだが、実はこの競合意識はチェーンの展開方針と合致する。

主力事業モスバーガーの国内店舗数は2013年9月末で1401店、うちフランチャイズ(FC)店は1148店に及ぶ。FCオーナーは約450人で、最も運営店舗数の多いオーナーで22店。平均すると1オーナーの平均運営店舗数は2・5店だが、約5割のオーナーが1店のみの運営である。つまり生業で営むオーナーが多く、生業店の強さが求められるのだ。

四次の面接とレポート提出加盟契約までに約2年

モスバーガーの競争力の一つに、32年前に発足したオーナー会「モスバーガー共栄会」に象徴されるFCの結束力が挙げられる。

共栄会は全国20支部体制で勉強会や全国大会などを開いて、FC同士の相互研さんを図っているが、この結束を生み出したのは理念の共有である。

理念を共有して理念に人生を賭けられるかどうかは、ひとえにオーナーの資質次第で、それだけに加盟希望者の選考は厳しい。

面接は一次から三次までを経て、櫻田が最終面接をして価値観や事業観などを確認する。その間にも、他のFCの研究レポートとモスバーガーのFCオーナー訪問レポート提出を求める。一次面接から最終決定まで早くても半年と、じっくり時間を要するという。

櫻田はこれだけの手間をかける理由を説明する。

「FCに加盟していただくことはオーナーの人生をお預かりすることだ。また、加盟後は長く経営していただくわけだから、その人にモスバーガーのブランドを託してよいのかどうか、それを見極めるために時間をかけて話し合う」
加盟店の契約数集めに奔走する多くのFC本部とは対照的である。何が合否を決する最終的な判断基準になるのだろうか。

「私心がないことである。時間をかけて話せば、それは見抜ける。面接やレポートでもっともらしく取り繕っていても、話しているうちに本心が見えてくる」

たとえば300人の応募のうち、加盟に至るのは5~6人というから競争率は50倍近い。この狭き門が、いわばモスバーガーの“オーナー力”を担保しているのだ。

タウンミーティングの意見を商品開発に反映

同社は14年3月期、来店頻度の向上と新規顧客の獲得をテーマに、さまざまな強化策に着手している。ハンバーガー全24品のうち17品をリニューアルし、13年10月には差別化商品として「モスライスバーガー(さば味噌 骨までやわらか仕立て)」「モスライスバーガー(彩り野菜のきんぴら)」「バーベキューフォカッチャ」を投入した。モスライスバーガー2品は朝食市場の開拓に向けて「朝御膳」に選択メニューで追加。さらにサイドメニュー強化のために、新ブランド「カップパティシエ」を投入して、ティータイムの訴求力をアップさせた。

商品開発の参考にするのが2年前から開いているタウンミーティングで収集した情報だ。これまでに全国各地で25回開き、櫻田はじめ取締役が50人の消費者と面会して、意見を求めてきた。モスバーガーには10年以上利用し続ける固定ファンが多く、40年来のファンもいるという。

「タウンミーティングでは、マーケティング調査で入手できない生の情報を得られる。年配のお客様からは『ライスバーガーが好きなのだが、揚げ物よりも素材を生かした具が欲しい』という意見が寄せられ、こうした意見も参考に和風具材の商品は生まれた」

アジア、オセアニアから本命のヨーロッパ進出へ

一方、マーケティング施策では、早朝の強化、宅配の推進などを重点項目として着手した。

早朝の強化では、12年3月にスタートした午前7時からの営業実施店は13年9月末に792店舗に増え、14年3月末には1100店舗を目指す。宅配の推進は「現状で十分収益が上がっていることや、バイク事故のリスクを想定して、なかなか進まなかった。来期以降の課題だ」(櫻田)。宅配の実施店は13年3月末の304店舗から9月末には303店舗に減った。14年3月末の計画も414店舗と控えめである。

14年3月期の国内出店予定は85店。9月末の出店数は23店で契約済みが27店。マクドナルドが業績不振店を続々と閉鎖したことで、空き物件が流通し、物件を取得しやすくなったという。しかも居抜きに近い形状で取得できるため、店舗造作のコストを削減できる。9月末の出店と契約済みのうち、6店がマクドナルドの閉鎖店舗跡だ。

海外展開は14年3月末に335店舗を目指す(9月末時点で316店舗)が、櫻田の目標はパリのシャンゼリゼ通りへの出店だ。現在の出店先はアジアとオセアニアの8ヵ国、「モスバーガーはヨーロッパでは知られていない」(櫻田)。だから櫻田は密かにこんな光景を思い描いている。

「ルイ・ヴィトン本店があるシャンゼリゼ通りに、日の丸とフランスの三色旗とモスバーガーのフラッグを3本並べて掲げたら、素晴らしいと思う。日本人の心を世界に知らしめたい」

個人的な夢と前置きにしつつも、すでに出店調査は始めており、近い将来にはヨーロッパ1号店として出店したいという。

引用元:CEO社長情報

記事掲載日:2013年12月

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